忘れ女たち01/17/2011

日刊忘れ女たち01/17/2011/03379


　　三人姉妹８



呼んでくるね幸福な三人姉妹を

脚気になるよ

サッカーボールを食べる

失うものはなにもない

失うものが食べられない

細い路地と修飾してはならない

三人姉妹を姉妹にほどく姉妹を娘にほどく娘を毛染めにほどく
毛染めを日本のどこかでにほどく　にほんのどこか

三人姉妹は階段を上がる　螺旋のことをすこし舐める
宇宙の手前で　世界のすこし向こうに
白鳥でなく　白い玉と　陽炎じみたとがった蜥蜴はすばやい動き

まだ早い

三人姉妹のトイレは三列で涙を流している

まだ早い






日刊忘れ女たち01/16/2011/03378


　　三人姉妹７



呼んでくるね幸福な三人姉妹を

部屋のなかは暑い

外は三年ぶりの吹雪

顔はむくんでいる

コンビニのトイレに駆けこむ灰色のジャージの

上下を着た女を卵形がすこし腐乱し濃い髭の男が睨む

一瞬のことのようだ不快も快適も

部屋のなかは愚かにも発話者と発毛者と発火者の断片によって結ばれている

白い桃の歌がいいよう

外は三年ぶりの吹雪噴水池の水も凍りはじめる

痛い暖房が止まり作文を提出する金色の鬼が一人食べた

寒い薔薇をポリプロピレンバンドで梱包する黒い馬が一人食べた

目映いひとくちチョコ105円を端末情報機で計算する三人姉妹が三人とも一人食べた

この物語はしり取りになっている

風景はなおさら静かになり三人姉妹はオンオフを繰り返す吹雪になっている