SSブログ

<33>詩論『詩の方へ』岩成達也 [無謀なる365冊]

岩成達也詩の方へ31+9czwkliL._SL500_AA300_.jpg

この書物も長い間旅行鞄の中であちらこちらと旅を続けた。
このままずっと読めないかも知れないと思っていたけれど、一応「速読」もせずに読み終えることが出来た。
読み終えてもどこがどうなったのか、それが重要なのです。

言葉は追いながら、理解力が追いつかなくてもめげずに読み進むことにやっと最近なれて来た。
いけない読み方かも知れないが、良しとしている。

詩にはやはり根拠があった。(詩法には)
ほんの少しだけ近づいた気がした、それが錯覚であると判る気がした。
パーセントで表現するのがみっともないくらい、判らない部分が多い。
各章ごとの「註」にあげられた参考文献は100パーセント読んだことがない。
困ったことだ、でもめげずに読んだ。抜き書きも難しい。

以下引用〜

 つまり、ここでは(この絵画の辺境では)
 線・色:(概念):第二の意味
という関係が成り立っている、と思えるのです。

(「Ⅰ.第一要請/詩(論)を求めて」より)

〜引用終り

詩の場合はどうなのか?この構造に当てはめて良いのか、本当に。
隣接するあなたの言葉。

以下引用〜

 では、詩の場合にはどうでしょうか。(中略)そこには二つほどの強力な仕組みが、いまや一種制度に近い形で存在していることが判ります。(中略)二つの仕組みとはなにか。
 一つは、抒情という仕組みであり、もう一つは行分けという仕組みであると思います。だが、抒情や行分けを考える前に、もう一つだけ考えておくべきことがあるようです。絵画は線と色でつくられ、音楽は音でつくられる。では、詩は何でつくられるのか。あまりにも当たり前の答えですが、詩をつくるものは言葉です。しかし、困ったことに、言葉は詩だけでなく、散文もまたつくるのです。のみならず、普通、言葉は意味から切り離せませんから、言葉の組み合わせ←→意味の組み合わせ←→概念の束(世界)という経路で、たちまちにしてそれは散文になってしまうのです。   (「同上))

〜引用終り

この「第一要請」と云う章はわたしにはとても飲み込みやすい。ただとても巨大なテーマだ。
巨大なる要請とは?ただまだここは高原だ。
そして、第二要請。

以下引用〜

さて、わたしもまた、

 私(達)の世界を定立し構成するものは言語である。

と考えたい。だが、私の場合にはこのことは必ずしもソシュールのように「言語名称目録観」の完全な否定を意味しない。つまり、端的に言えば、私の場合、この命題は直ちに「知と言語とはどのような関係に立つのか」という問いをひき起し、ついで「知覚(身体)と言語とはどのような関係に立つのか」という問いをもひき起すからだ。
   
(「Ⅳ.第二要請/詩についてのごく僅かの手がかり2」)

〜引用終り

そうじゃない重力がわたしにかかってくる。険しい傾斜だ、息が切れる。理解度の欠如か。しかし、青い空。

以下引用〜

 さて、以上のような迂回の後、出発点である「私(達)の世界を定立し構成するものは言語である」という言明を見直してみると、この言明が言う「言語」は、「語ること」ではなくて「語られたこと」にひきつけて理解するのが適当でないかという考えが生じてくる。というのも、「創造的な言語使用」にしろ「意味生成」にしろ、「語ること」においては、「世界」はいまだ定立されるにはいたらず、その構成も不安定だと考えざるを得ないからである。あるいは、それがまだ確たる輪郭には達していないと言ってもよい。
 そして、もしこの考えが正当であるとするなら、当初の言明は次のように言い直すことができるだろうーー   

 私(達)によって語られた(る)こと/ものが、私(達)の世界である。


(「Ⅳ.第二要請/詩についてのごく僅かの手がかり3」)

〜引用終り

ここまで来なくても私は良いのではないだろうか、いいえ、と云う声が聞こえる。
しかし何故、山に喩える?さらに空は青い青い、空の向こうが視えるだろうか?登山者には当たり前の感覚?

以下引用〜

 詩とは、言語によって私(達)の世界を超出しようとする営為である。

 勿論、かかる営為を実践するものは詩だけではない。神学もまたかかるものの典型であり、更に古代においては神学と詩の区別はなく「神話」として一つであったということを思えば、あらゆる言語が必らず「詩」をもつという所以も納得できるように感じる。もっとも、神学は理念と論理を、詩は知覚を、それぞれ手放したがらないようにもみえるが、それもまた絶対的なものではないだろう。

(「Ⅳ.第二要請/詩についてのごく僅かの手がかり3」)

〜引用終り

来るべきして来た様な気もする。ここが入口のような気もする。
そうでないかも知れない。ここからが空だ。


著者  岩成達也
発行  思潮社
発行日 2009年7月30日

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。