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<32>詩集『御世の戦示の木の下で』中尾太一 [無謀なる365冊]

繊細でのめり込んでくる。熱帯の木の根のようだ。
意味のない比喩はさておいて、この詩集はどういうものだろうか?考えさせられる。営業中に立ち読みをする。(3頁だが)

以下引用〜

手遅れもなく、危機もなく、透明な火葬はフィルムにうつった朝焼けだ、貴方と睦みあったざんぱんの痙攣づたいに降りて来た悪魔だ  (「革命飛行船/攻防の始まり」)

〜引用終り

永井壕の『デビルマン』のようでもあり、破損した「才能」のようでもある。

以下引用〜

その生と死の、これからはまったく同じ光の原理の下に寄生する微温の一日は、この温度をどうか導いてと、言っているのかどうか。伝わる、伝わらない、伝わる、伝わらない、と名前の知らない花弁をむしりながら、霧の中、僕は僕の愛する人のこころを探している。  (「御世の戦示の木の下で/2 星屑のあとがき」)

〜引用終り

小説も映画も詩も一回しか読んだり視たりしかしないのですが、ふたたび愛することもある。
ふたたび愛したいこの詩集である。それで背広を着て立って読んだり(3頁だが)、酔っぱらって読んだりもしている(3行だけれど)。

以下引用〜

今日、あなたの娘たちはあなたから遠く離れたどこかで、ちょうど半分ずつ、チーズとサラダ菜が入ったサンドイッチを食べている。僕はどこか知らない町を歩いている。
僕は戦争の話をしている。御世の戦示の、一形象の話を、自動的に話している。
自動的に、僕は戦争の話をしている。  (「御世の戦示の木下で/2 星屑のあとがき」)

〜引用終り

そうだ、僕は<センソウだ>と思っていたけれど、「僕は戦争の話をして」いるのかも知れない。
計り知れないセンソウの雨やセンソウの沸騰を感じながら。僕はセンソウに行く、行かない。

御世の戦示の木の下で/41NjkX7HXpL._SL500_AA300_.jpg

著者 中尾太一
発行 思潮社
発行日 2009年10月25日
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