『冷酷なシロクマ』12/20/2013/04240 [日刊忘れ女たち]
23:47:33 ikebukuro 12/18/2013
冷酷なシロクマ
ひげの濃いあごの長いめがねを掛けた
冷酷なシロクマが来るとぼくは叫び声をあげました
キンも返す
ギンも差し出す
パールは断ち切るようにする
シロクマは頂点に立ち余裕の様子でもっとも白く
すこし汚れた黄色の魂です
凍えるプレゼントを束ねています
いまは役目を終えて母体の眼球からは視線が凍りつき折れています
冷酷なシロクマは立てかけてレンタルサービスにまわします
貧乏の演説を金持ちのアンプリファイアーが増幅します
金持ちのシロクマはぼくを相手にしていません
16時半ちょうどにシロクマのバラードが流れるはずです
嫌いなのか好きなのか宿命なのか偶然なのか
魂のさらに向こうのほうが光っているようなのですが
ぼくには視えません
そのあかるさがぼくには不安です
信じるものが変わってきました
最初は機械のシロクマです
どこまでも旅をするよと云っていました
それから感情のシロクマです
ぼくたちは似た者同士なんだねと云うのが口癖でした
社会の変化にはついてゆけないみたいで
それじゃあ駄目だよと思ったものです
だから告白のシロクマに会いにいった
切なすぎて視線が凍りました
オーロラが歌いなよと云いにきました
食料のシロクマが踊りなよと云いました
半分食べてしまいました
半分売りました
キンが入り
ギンも手に入れた
あとはパールを頂くだけだな
気温はぐんぐん下がりました
タオルをまわすと凍りつく
ひたいの釘はバナナで打った
窓の外には折れた視線がいっぱいです
色とりどりに凍りついて
ツワモノドモの夢のあとです
冷酷なシロクマが凍った視線を集めています
お払い箱の凍える視線を
まるで越冬の準備のように立てかけています
どうにか今夜は湯豆腐なので
冷酷なシロクマをぼくはいま
信じなければいけません
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