『ルー・リードは好きですけど』09/05/2013/04204

15:18:28 akabane 09/03/2013

　　　ルー・リードは好きですけど

漆水さんと云う女性がいて

東京青山の本社島根イズムホテルから

JRと京急線を乗り継ぎ

営業事務課の一員であり

ロケーション管理と云う

仮設販売所にどんな版画をどれだけ

並べたらよいのかと云う仕事をやるかたわら

こんなもの返すからすぐに引き取れ

金返せ

と云われる仕事もやっていて

若いは紅い

悪いは若い

羽根の生えたドラッグストアのように

生き様を消さなければならない

私の所へやって来たのだった

漆水さんは

若くて紅い

そんな電話が来るとだれも自分では応対せず

みんな彼女につなぐので

彼女はそれが自分の仕事であると

納得はしているのだが

ストレスがたまるなんて云うのは

まだ楽チンなほうで

ルー・リードを認めないと云う女神と品川で乗り換える

売った値段で引き取る事などできなくて

電話の主は正義のクレーマーと化しているから

罵倒され泣いてしまうこともある彼女が

此処第３営業所兼拡大常設販売所の

元叩き上げの営業部長いまフラット管理職の私こと

このたびお訪ねくださり

ありがたいありがたい

熱のこもった探り合いと云うものもあるのだ

電気を点けても

やらなくちゃいけないこと

その段取りの手前まではよく覚えているのですが

別に私に気があるわけでもなく

妹さんの話など楽しそうにしたり

瞬間湯沸かし器の総務部長の

穴蔵に押し入っただけで

特に鹿の剥製を作るなどの成果はなく

私だけがビールを十本も飲み

彼女は肉を喰い

野菜を舐め

おがくずを口に詰め込み

げのげのと三本足の鴉になって飛び立ってしまった

抱くことでなく

抱かれる術でなく

待っていること

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