忘れ女たち11/06/2012 tokyo-ukima-2/123 [日刊忘れ女たち]
17:09 ukima 11/07/2012
日刊忘れ女たち11/06/2012/04036
星の列車 月の花びら
荒川を京浜東北線が渡る
花火も視えないのに列車が止まる
遠くに灯りは累々とつらなり
そのときあたしは「なんてもったいないことです」と呟いていた
もったいない橋が
あたしの涙を止める
それだからいっしょに悲しもう
ぞくそくしたのは
これが初めてだから
祈りの手を握るのは
これで最後になるのだから
笑ってしまったら壊れる
止めどない嵐も
そんなに遠くを視ている訳ではない
この汽車も
花びらが渦巻くようにあたしを確かめる
荒川が京浜東北線を征服する
河の氾濫は
米印に宙を描いて転がる
地図にされた骨たち本音たち奔馬たち東京都に侵入し
花の月夜を蔑む
列車のなかで祈りを組たてる
舌足らずな女性車掌の彼方を数万年分の月が陰る
「なんてもったいないことです」
あたしたちはあした橋を渡り
荒川が痺れた花びらを征服する
東京都民は
いやとは云えない
ただ「もったいないことです」と繰り返す
涙はあふれて
列車は赤羽駅にむかって動きだす
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