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忘れ女たち10/20/2012 kyoto-no.11 [日刊忘れ女たち]

イメージ京都三条.jpg

12:25 kyoto-sanjou 10/20/2012





日刊忘れ女たち10/20/2012/04019




   
    潜り女



 

もいすちゅあ

昨日視た夢を咽喉の紅から吐き出す

天空から降りた呪文のように思えた一瞬

宝石か

化粧品のコマーシャルなのだ

圧縮されたこゝろで笑い

高野豆腐のようにつめたく弛んでいる

神経が朧ろにフェイドアウトする

 

さんはあすん

夢のなかでふたりのおんなは潜り女でありたい

重ねて

畳んで

積み上げたのではないのだがなにかいい気持ちになっていて

なまえを告げてみた

仕事でよく使うありきたりのなまえだったが

朝靄の近隣を彷徨いながら

その液体の壁に書き込んでみた

 

みいこみいこ

縮こまったあたしはなかなか進めないから

天井に液晶画面が浮き

音響はバリヤーに囲まれて生きている

透き通って

つめたいはずのこゝろの石たちは別別に伸びて

斜めの幻想原子をくだくだ打ち砕き

子猫が死んでいる

 

だばだだばだ

これでは摑まえることができない夢の

その欠片のせつない初老の粘着性の恋ごろごろ

あたしはすぐさま少年以下と通信をかいしした

あたしのお腹のなかで

死んだ兄がコーヒーカップにミルクを注ぎながらあたしを覗きこんでいる

そして悲しく無視をしている

曖昧の部屋に潜り女のふたりが待っている

 

かしゅらみゅう

このことは秘密なのですそう逃げてたまりますかい

あの人がなにをしたって

かにをしたって

あたしはあたしのおこないの鍾乳洞からじくじくと

こゝろの償いを雫に直しています

そしてふたりとも

潜り女としてその寄る辺なさを埋めるために

 

もいすちゃあ

あたしたちはその日当りの余りよくない恋を続行するため

曖昧の袋を開けはなち

 

さんはあすん

紛々と散らばる生気をかぶって時間が壊れる渚を

どこまでも平行に走ってゆく

 

みいこみいこ

こゝろはいつまでもイコールの記号を吐き出して

あたしの駆け足の足場が消える前に

 

だばだだばだ

あたしは駆けてゆく

ドアノブがあたしを追い越して鳥の形になる

 

かしゅらみゅう

あたしは袋からもう一度はなたれる

冬の亡きがらを風に交ぜながら
潜り女は

ほんとうにやってくるだろう

 

 

 

 

 

 

 


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