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忘れ女たち10/21/2012 kyoto-no.12 [日刊忘れ女たち]

イメージ 京都六角堂.jpg

09:54 kyoto-rokkakudou 10/21/2012





日刊忘れ女たち10/21/2012/04020




   
    うさぎさんの日向ぼこ



 

二本の路が交あってから

風を笑い

夢を諳んじて

一瞬点になり

此処にきた

 

強風が吹いても倒れない

いまはいないうさぎの抜け影がそう云った

でもはげしい内蔵が透明にはみ出して

走る 走る 走る 走る

時間を交ぜている鍋のところまで

走る 走る 走る 走る

小指の先のようにあなたが生まれたから

人間のセカイではあたしたちは会えなかった

それで

一瞬耳になり

それを聴いた

 

あなたの二本の足が一匹のカブトガニになる

跳ぶ 跳ぶ 跳ぶ 跳ぶ

いつもこみ上げてくるものの力に任せていた大きなビーカーの真空に

こゝろや泥に

日記帳にカウンセリングに

渡り廊下を渡ってきみは会いにきてくれたけれど

あたしのこゝろはこゝろは届かなかった

跳ぶ 跳ぶ 跳ぶ 跳ぶ

生きた化石だね

そう教わった通りにつぶやいて

水を飲まずに

うさぎ跳びで階段を降りてゆけ

 

窒息するのかと思えば

管(くだ)が降りてきてあたしごと空虚をのみ込んでしまった

笑い事じゃない

X脚にして未来に臨むな

柵の向こうで点線が疲れたルーチンを運んでいる

学習することの下位に停まるための駅に

カブトガニの朦朧とした恥毛やうさぎの肉魂や裸のままのわかい母さんが

降車する

ええ いい天気です あたしたちは失われているが失われています

ええ 恥ずかしいほど順調に憎みあっています

窒息する

そして一瞬のうちに点になって

此処にきた

ああ なんだ息をしている

ああ なんだもういちばん遠くの北の方角から

あたしたちはもう一度繰り返す

風を笑い

夢を諳んじて

降車したものたちといつまでも抱き合っている

透き通った陽の結晶を咬みながら

果てしなく微睡んでいる

 

 

 

 

 

 


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