忘れ女たち09/10/2012 shinsaibashi-osaka-last/7 [日刊忘れ女たち]
14:39 10/06/2012 kawaguchi
笑えないはなし
棚のうえにある
兄のつくったその棚はすこし表面がざらざらしていたと思う
ふたつみつ
いいえいつつむつ
ラジオも兄の死骸もその上に載せた
だとすると
その棚は父がつくったものだろうか
侮れないはなし
その背表紙の北回帰線とか
哲学改革のための暫定的命題とか
共産主義の系譜とか
柱の傷から
桃色の血が流れた
いいえ
それはなにか違う
なに
違う気がする
なに
月が清らかなのも
え
なに
花が美しいのも
え
そう
公害が恐ろしいのも
え
なぜ
おそらくは、シンリはこの関係のなかに
把握されなければならない
あなたは紙のうえに書かれている
あたしの力が弱いので
もうあの家に戻ることは出来ないが
空中にまず舞い降りることが出来る
あたしの力があんまり弱いので
もうあの棚のうえに戻ることは出来ないが
あなたは紙の上に書かれている
夜
１１PMが終わる頃
月
舞い降りたものは小首をかしげ
花
あなたは紙の上であばたの顔に描かれており
公害
もう日本には誰もいない
仕方なく戻るわけではない
あなたが聴いた換気扇の音に似た
ゼンダグギンの音がまわっている
水を混ぜ
汚濁を混ぜ
不必要な形容詞や
胸を潰してしまう云いがかりをゼンダグギンはまわし続ける
夜
今日わもう帰ろう
月
チョコレートを買って帰ろう
花
さあこの平和から逃げ出そう
さあこのゼンダグギンから逃げ出そう
あなたの
もう一度のほんとうのことが
夜
ソラニカラマル
月
そして絡まる
花
あたしは
親指を折ってしまおう
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