忘れ女たち08/27/2012 saitama-omiya-last/5 [日刊忘れ女たち]
23:10 09/06 shinsaibashi-osaka
日刊忘れ女たち08/27/2012/03965
夏の終わり頃になかまで集まった
あたしたちはお化けなので
特にやるべき事もなく
ただ坂道を転がり寄りみちをする
広場のおくに瓦礫の丘がある
人間が捨てたものなので汚れているが
お化けなので構わない
ただそれぞれ性格は違うなんにんかで
あたしが視つけたのは
なんだか巨大な薔薇の革細工がついた
ランドセルだった
夏の終わり頃坂道をおりていった
あたしは広場でランドセルをひろい
ふたを開けると乾いたお菓子が一杯だった
フュッセンのお城の中に
百年以上も前の割れたお菓子が展示されていて
それをお化けのあたしは
思い出したりもした
さすがに食べたりはしなかった
お化けにも食欲はあるけれど
お腹を壊すときだってある
捨てたものをひらいまた捨てようとすると
手紙が出て来た
赤く焼けたわら半紙が破られちいさく畳まれて
何処のことばかわからない文字が
神経質そうに綴られていた
とうぜん捨てたさ
捨ててひらってまた捨ててまたひらって
また捨てた
未練がましくランドセルだけたぐり寄せてみる
黒と灰の魅力もないリュックになっていた
薔薇は何処に落ちたんだろうか
とうぜん捨てたさ
広場からみんなと坂道に戻り
お化けの坂をまたおりた
あの手紙にはなんと書いてあったのか
海に投げた瓶のなかの手紙のように
だれかに読んで
欲しかったのかな
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