忘れ女たち08/06/2011 tokyo-yaesu-6/14 [日刊忘れ女たち]
09:05 08/19/2012
日刊忘れ女たち08/06/2012/03944
四本のゆび
親指が自由になる
力がよみがえる
頭脳は沈着だ
太郎が消えないときに
赤い長襦袢を来ていた頃だ
思い出すことは
とても辛いよ
中指が自由になる
もうゆびから漏れてもいい
早く落ちて
苦しい秋の葉に
もう力はない
植物の首を切り
胴を切り
よみがえることは
とても辛いよ
人差し指が自由になる
もどかしいもどかしい音楽が
隣の風に語りかける
あたしは星の虎のように
よろよろと
手すりをつかんで
そして儚い胃薬の梱包をとく
挨拶を返せ
挨拶をするな
あんな夏雲が
あたしたちの異常を知る由もないそんなに辛くないよ
あきらかな歩行は舞って
色とりどりのくすみは明かされ
息を大きく吸う
背筋が曲がっても
パイプは流れるたしかな静寂だ
そんなにあなたを視ていないよ
いぶかるだろうさ
あたしを視ていないと
小指の自由がきかない
ゆびの何本かの名前が斉唱し
はらわたをやさしく撫ぜてゆく
夏星
秋星
あなたの名前をまだ知らないのだな
水の薬が
四本のゆびから落ちて流れてゆくよな
誰かが誰かのこゝろを
盗む季節に
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