忘れ女たち06/25/2012 ukima-summer-works-03 [日刊忘れ女たち]
06/28/2012 17:48
日刊忘れ女たち06/25/2012/03903
あたしたちだけの結末 25
コロマニクは
遊里の事情と云うものを知っているわけでもなかった
つぎつぎと女たちが入れ替わり
窓ガラスをこすったり
平積みの偽手形を手に取ったり
通販の分厚いカタログを立ち読みしたりしていた
片足のない男が紐を咥えた男と交叉する
初め右肩の部分が重なると
フロアじゅうに南の果ての怒り狂った霧がたち
青い心臓と赤い心臓が双生児のように重なると
上昇下降ともエスカレータが通気口となって
怒り狂った霧が痴呆症のように消える
あたしは?
アドニエと云う名で
かれは?
コロマニクと云う名だ
たしかにあたしの後方が遥かかれの人工島の
故郷なのだけれども
口ごもってばかりもいられない
配置変えになった元フロアマネジャーが
豚鼠のぶっきらぼうさで
しつこく聞いてくるのだった
アドニエ、
まだ詩を書いているのかい?
コロマニク、
あなたのことずっとネットワークスで
手繰っていたけれど
すこし沈黙の梅雨の踊場の鬼の云うことを
聞かなければねと思っていたの
松葉杖も使わずにそれなのに
近づいてくるのは
何故なのかしら
ご訪問いただき有難うございます
by セイミー (2012-07-06 10:42)