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ホフマン『クレスペル顧問官』池内 紀 訳「百年文庫 13 響 」より [『2011無謀なる366篇』]

『2011無謀なる366篇』vol.17
ホフマン『クレスペル顧問官』池内 紀 訳「百年文庫 13 響 」より


以下引用〜

「これがわたし───わたしが歌っている!」
 実際、そのヴァイオリンから流れ出る音色ときたら銀色に澄んで、不思議なまでに独特のひびきをもち、人間の胸からほとばしる声とそっくりだった。クレスペルは深い感動を覚えた。とともに腕も冴え、あるいは高くあるいは低く、興の赴くまま弾くほどに、アントニエは手を拍って酔いしれたように声をたてた。
「どう、すてきでしょう!わたし、すてきに歌ったわ!」

〜引用終り


無謀366、ずいぶん間が空いてしまいました。無謀にも、再開です。

ホフマン(1776~1822)は、東プロイセンのケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)生まれ。この作家もはじめて読みました。地理的にも、こころ的にも遠い寒い物語です。語り手にぐるんぐるんと振りまわされてゆきます。アントニエの胸部には致命的な欠陥があった。かの女のこの世のものともおもえぬ美声は、その若い命と引き換えることでしか花ひらかぬ運命なのでした。ああ、ヴァイオリンの声と云うのはどんなでしょうか?ヴァイオリンが壊れるときは声の死ぬとき。こころも死ぬのでしょうか。





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