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『アトピー』02/06/2014/04252 [日刊忘れ女たち]

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23:59:40 hiiragi/mamegara 02/03/2014





  アトピー




あたしの望むものは
大掛かりな隧道のようなもののそとがわの部分だけ
あたしの望むものは
スープを暖めて飲むときの太陽の困惑以外のすべて
あたしの望むものは
女たちの花散るを連載するおわらない物語の冒頭
あたしの望むものは
途切れている老いたる海原のさりげない描写のその後
あたしの望むものは
アトピーの消えた手のひら

砂利の敷かれた屋上にでると
薄荷の匂いがして 手のひらが透けて 血が流れるのが視えた
子どもたちは危険で無数の胞子の川だ
ここでは花咲くのに
彼方では雨に泣く骨あらし
みんな戻れないんだ タイムトンネルには そとがわがない
マンホールは駄目だろうか
フタがあがらない
超現実とはジャンルだろうか
幕があがらない
老人になっても
紅い心臓が日照りの下でエビゾッている
釣り銭のように地上に降りて
西暦の隠れ家に入る
切手のなかできみはレッドソックスを脱ぐ
結晶にならない脱穀のアドレスを呼び出す

あたしたちの望むものはどんなに遠くて大きいのか
この世の果てよりもすこし近い
あの世の姿の数パーセントに過ぎない
あたしたちの望むものはどんなに恋人以上で愛人以下なのか
あたしたちの望むものはどんなに夕方までの労働なのか
夜をいつまでも働くものはだれなのか
あたしたちはいつまでもヴァイオリンに夜のプライドを重ね
太陽はいつだってスープを飲まない
もしもあたしたちの胸に七つの矢が閃光とともに突き抜けたら
日没を解体しに夢に入ろう
帯を締めながら
こゝろのきしみを訊ねてみよう 帯がなければ
老いたる海原のさりげない描写のあとに
東海に一度流れ着き
応接間を飾っていたヤシの実の鬼の面を探す難民になろう
きょう施しがなくとも
いつまでも漂うだろう
あたしのたちの望むものは
アトピーのない手のひら






      * * * * * * * * * * * * * * * * *


      ―肉聲の復権を求めて!「目の言葉」から「耳のコトバ」へー

 

     天童大人 プロデュース      詩人の肉聲とコトバとを聴く!

  第1052回 Projet La Voix des Poètes (詩人の聲) 

平井 弘之(第2回公演)第2詩集『管(くだ)』の全編を聲に乗せる。

さくさくと女房からの手紙を食べているぼくの淋しいヤギよ

いつかのあなたを歌いながら かれはひとりで糞をしている

日時 : 2014年2月12日(水)

開場18:30 開演19:00

会場 : ギャルリー東京ユマニテ

       

 

〒104-0031中央区京橋2-8-18昭和ビルB2

メトロ京橋駅⑥番出口下車 徒歩1分

Tel03-3562-1305,Fax03-3562-1306

E-mail: humanite@js8.so-net.ne.jp


入場料:予約2700円  当日3000円

学生・障害者割引1500円(学生証提示)小・中学生無料(保護者同伴)

*御予約は各会場か北十字舎へお申し込み下さい。(直接、平井までご連絡頂いても結構です)

北十字舎:  Tel 03-5982-1834  Fax 03-5982-1797

携帯090-6181-0556(AM9:00〜20:00)

E-mail:tendotaijinbureau@mbi.nifty.com


 

平井弘之(Hirai Hiroyuki)プロフィール

1953年東京生まれ。1969年高校中退。その後池袋「JazzKiss」店員、表札訪問販売、掃除機ブラシ・錆取りクリームの実演販売、家電量販店マネキン、商品相場外交員、露天商、絵画販売等に従事。1990年詩集『忘れ女たち』、2000年詩集『管(くだ)』、2006年詩集『小さな顎の女たち』、2010年詩集『複数の信仰には耐えられない日蓮』を発刊。『blog.忘れ女たち』で生涯制作1万篇に向けて「日刊詩」を展開中。






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