『Victorの犬』08/14/2013/04191

17:01:43 ukima-urabon-e 08/13/2013

　　　Victorの犬

はじめて聴くお経の

迷子の緯度の外した経過の

痛む精霊が流れて

滞るデルタの

逆さの重なり

昨夕求めた茜の精霊棚から

馬も野菜も皆落ちて

母の震えている枇杷の内臓を梳(くしけず)る

何か此れからは

頭がいの長屋

その毛細に香る露地の

餓鬼あたしのために張られた捕獲のファイバーを進み

供物持ち寄り

花も実も盗んではならぬ

時放たれた離人と頭がいの中の青煙る交渉の痛みよ

ちぐはぐな接吻やこゝろの粘膜を脱ぐことの出来ない擬似的なあたしの七日目の求愛よ

此処はどこ

再発の兆しですか

今朝目を覚ますと

目連尊者はMobile Suitを来て病んでいた

一番近くの死者への面会を処方しておきます

週に二度の夜勤はこの時期堪えます

お皿は使わなくなった鳳凰の金と朱のものを選びました

火災報知器は作動しません

逆さまに吊るされた女は鶏頭の紅い髪を垂らしています

迎え火はちいさな身体で火怨の魔法を逃がす

ああ此れは誰の作った高速記憶装置なのだろう

七代の彼方の星が遊んで

もうとっぷりと暮れた三角州にあたしは

Victorの犬のまま残されている

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