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『大島渚とあたしたち』02/23-3/2013/04092 [日刊忘れ女たち]

P5010076.jpg
10:50 sakura-jima 05/01/2007




   大島渚とあたしたち




大島渚は月を正面に視据えた
大島渚はでかい影だ
大島渚は行きたくもならない火山島だった
影が火山の頂上の天文台をこえて
なだらかなこゝろの斜面を光速のぎゃくの速度で走る
そして黒くみだらなゴツゴツとした
溶岩の死んだ海であおを溶かし
そのまま永遠に脳髄をさし出した

あたしたちは山の中腹まで
なかなか溶けることが出来なかった
影や
溶岩の死骸や
月を射る光のちからに
あたしがひとりで大島渚の裏通りを厳密に歩いていると
メモがあたしにたった一人でひろわれた
「あたしたちは
 山の中腹まで
 精霊としてのぼって行き
 火の岩に押し流されて
 海岸線でやっと留まった
 それ以来
 影も岩も
 どれだけ思考したかを
 誰が知るだろう」
メモにはそう標されていた
あたしたちは火山島をすでに目指していた








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