忘れ女たち09/17/2012 Deutschland5/8-Füssen [日刊忘れ女たち]
10:38 09/18/2012 Füssen
仙人が険しくもない山の頂きに住んでいた
もう死んだ師にゆるされて
死んだ子も生返らせ
去っていった恋人も幻でつくった
これが仙人かい
といつも思うのだ
これで仙人かい
雲がゆくたび思うのだ
淋しい妻だがやさしい妻だ
子供たちは生死を越えて
楽しく何かしているし
ああ?
そう云えば何をしている
いつもと云っても
いつもは夜だ
真っ暗闇が曲がっていて
雲はゆくのに風は吹かない
あたし仙人だから息もしない
しなくっても苦しくない
これが仙人かい
と思うときはそんなときだ
たまに天地がひっくり返る
地面のうら側
夜空のうら側
あたしのこゝろのうら側が
ざらざらざらざら音をたてる
ただ慌てない
いつものことだし
なにも変わらない
これで仙人かい
とため息ついたりはするけれど
タグ:詩 散文 詩人 詩歌 現代詩 仙人
コメント 0