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『金太郎の発熱とこゝろの飢餓と使命感』09/08/2013/04206 [日刊忘れ女たち]

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12:19:35 sakura-jima「溶岩に秋風の吹きわたりけり 子規」 05/01/2007





   金太郎の発熱とこゝろの飢餓と使命感




ウィラブユーと明け方の鴉が歌っている
テレビ中継され過去のもので
三本足の伝説の鴉が三羽
その汗にまみれた青空のなかで
昼のに比べれば人のややまばらな
世界的なスクランブル交差点を
夢のなかの痣を抱えて小走りで
向かっていったのは
果たして彼らや
あたしたちの往路だったのか
それとも岐路だったのか

夢の痣で消されないもの
夢の痣が消えてゆかない二〇一三年の夏が終わりました
終わってしまった今日
終わっていない二〇一三年の夏
終わっていない昨日
終わってしまった明日
痣としての夢が無謀である事
ウィラブユー
死んだ恋人をいつまでも追いかけるな
では死んだあたしたちは
だれを追いかける
そして声をかけ
ウィラブユー

その名前がわからない
わからないと云うのは
覚えがないと云う事で
ならば調べようと金太郎は小さなまさかりを担いだまま
その半ガワキのタイムトンネルから飛び出し
太陽光発電のままアクセルを吹かせば
なにも流れてはいないのだった

モングルビッチ
金太郎はiCloudのメモにそう指でなぞり込んだ
はじめの発音が聴き取れないのは金太郎が
古里に帰るついでに気軽に請け負った
ハングリーになる神話的な絵画販売会社設立の
日銭稼ぎの国際都市だった
そこで発熱とこゝろの飢餓と使命感を倒してしまって
以来の事だった
悲しいは
嬉しい
嬉しいは
悲しい
そう云って彼女の膝枕の小さな熊と
遊んでしまってからの事だった
ついこの前の事だった
ついこの前の事だったから
こんな思い出しかたにきっとなった

モではなくコかもしれないいいえ
ヌそれともゴもしかヒ
いつかもう一度古里に帰るときがあれば
そのときに聴こう
金太郎なにをしているの
水の流れぬ川を
光なら流れるかもしれぬ
エロチックな夢なら
ここでいま誰と会うべきか
幻想の水だったと書かれたノートが滲みもせずに
流れて来るのだ
それでもきみは伸びきったまま干涸びかけて
時間の始まりなど忘れてしまった
いまは昔などと云いはるのだろうか

骨は腐海だった
視た事のない最初の発音が違っているかもしれない
ヒングルビッチ/ゴングルビッチ/濡れ衣サイト
揉めコメルーロ/ハングリーストア帝国
ヌングルビッチ/コングルビッチ
ビッチいいや ビチかも知れない
元々の聴き違いかもしれない
手を射し込んだ
どちら側に確信したのか
骨はことばのどろろに浮いたり沈んだり
初めて弾ける泡がきみだった
おい金太郎
おおい金太郎
ぼくが誰かを知っているかい
行くなよ金太郎さん
こっちだよ振り返れよ金太郎さん
ぼくがどこへ行くのか知っていたかい
お願いだ金太郎さま
お頼み申し上げます金太郎さま
ああ振り向いてくれない
他にだれも視えないのに
あの人には聴こえないらしい
あの人のことなんて呼んだらいいのだろう
おい
どうしたらいいのだ
モングルビッチよ
あたしがなにも
聴こえないのだ
その三本足の黒い三羽の鴉は秋も深まる五月蝿さであり
明け方ウィラブユーとは少し異常なかけ声に違いない
真っ黒く変色した
痣がまわる
声が出て
音が聴こえていても
誰が歌っているのかがわからない
どこで誰に向かって
なんのために現出しているのかも誰も知らない
金太郎が往路の途中なのか
誰にもわからない
モングルビッチが
果たして伝説の朗唱詩人なのか
はたまた
伝説の三本足の鴉であって
その人称が三羽であるなんて








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