『つつつ不二のやま-3(光りがからだに)』03/12/2013/04101 [日刊忘れ女たち]
12:48 03/08/2013 tokyo-itabashiku-honmachi-[ita-bashi]
また石鹸を死刑囚の傍に持っていってしまったか
その雑居房をあとにしてこゝろに花は咲いたのだろうかあの人は
からだを洗いました
石神井川に懸かる近代的な板橋の上で
つつつ不二を視つめながらそんなことを考えていた
放蕩三昧だったほんとうのところ性別は不明の姫様が
こゝろを洗いました
中庭にはせせらぎの模型
木漏れ日の恩寵
昼の星々の企み
晴天のこゝろの空洞が
からだを拭きました
いまは椿の花がその油壺に落ちて行く
磁石のように湾曲して
終末のように浮遊して吸い込まれて行く
この油を美しい異国の青い硝子瓶に入れて
世界中の街や村に出かけ売って歩くのが夢だったよね
からだじゅうの美しい汚れを
世界に撒いて
そして ピカッ ピカッ って
湖に落として行くうちにあたしたちは
こゝろを拭きました
光りがからだに当たりました
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