忘れ女たち08/31/2012 kyoto-yopparai-3 [日刊忘れ女たち]
17:00 09/11/2012 ukima
日刊忘れ女たち08/31/2012/03969
バスが二台来て
あたしは一台目に
妻は二台目に乗り
宴会場へと向う
宴会と云うよりもなにやら秘密の
ことらしい
楽しんで来てねとあたしは妻に云い
そのあと
すこし心配した
光りの妻がなんだか影になっていたから
そして
不安は的中した
妻が帰ってこない
酒を飲んでいる
迎えにゆく
帰ろうとしない
何故だ
あなたいつも私が待っていたのよ
なにを今更
永遠と数日がたち
あたしたち別れ別れの夫婦は伝説によごれた
バスは来ては
また帰り
行っては
戻るが
妻は戻らない
Y字路になった運河の底から
物の怪があらわれた
舌を紐のようにほそく伸ばし
ひゅるる毒気づいている
そこに妻が帰って来た
ああと叫んであたしは妻を抱きかかえ
なだれた妻の手を引き逃げた
物の怪はソラに舞い上がり追ってきた
あっと云う間もなく
紐はひゅるる妻をとらえた
あっと云う間がすぎて
あたしは観念した
このまま妻は紐に巻かれて
物の怪に食べられてしまうのだ
紐は巻き付いたが
巻きあげずいつまでも巻き付きかさねた
影よりもくらい紐に巻き付かれた妻だった
子供のころよく視かけた
幼虫の入ったほそい袋のようになった
あたしはなにが起こっているのかわからなかった
ことの発端から
あたしは何にもわかっていなかった
*
巻き付いた紐は一瞬にほどけた
乳白色に光る
うつくしい妻の肢体がそこにあった
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